2018.09.04
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”オミナエシ、クマツヅラ” の花が咲き、”キササゲの実” がなっています。【城西大学 薬用植物園】
  今年は、酷暑の夏でしたが、薬草園にも、ようやく秋の気配が漂い始め、オミナエシPatrinia scabiosifolia、クマツヅラVerbena officinalisの花が咲き、キササゲCatalpa ovataの実がなっています。

  オミナエシ(女郎花)Patrinia scabiosifolia(スイカズラ科:APG分類、オミナエシ科)の米粒のような黄色い花が咲いています。オミナエシは、高さ60~100 cmの草本で、葉はやや固くてしわがあり、日本では万葉の昔から愛好され、前栽、切花などに用いられてきました。全草に、鎮静、抗菌、消炎作用があり、敗醤(はいしょう)という名の生薬として利用されますが、むしろ、秋の七草の一つとして有名で、万葉集には山上憶良による「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花 萩の花 尾花葛花 瞿麦の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」の歌があります。なお、女郎花の名のいわれには、諸説があり、定かではありません。

 クマツヅラVerbena officinalis(クマツヅラ科)の小さな花が、ひっそりと咲いています。クマツヅラはアジア、ヨーロッパ、北アフリカに広く分布する多年草で、全草をバベンソウ(馬鞭草、西洋ハーブ名:バーベイン)といい、発汗、去痰、鎮静、通経薬として利用されてきました。平安時代中期に書かれた辞書である “和名抄” には「久末都々良」として記載され、ラテン語のVerbena には「祭壇を飾る草」という意味があり、officinalis も「薬用の」という意味で、古代ローマでは祭礼に用いられ、聖なる草、魔除けの草とされたそうです。

 キササゲCatalpa ovata(ノウゼンカズラ科)の細長い実がなっています。キササゲは、中国原産の落葉高木で6~7月、淡い黄色の内側に紫色の斑点のある花を咲かせます。秋に実るさく果がササゲに似ていることからキササゲとよばれます。果実は日本薬局方収載生薬「キササゲ」で利尿薬として使用されますが、漢方薬というより、むしろ民間薬として用いられます。本植物は、高木になり水気を好むために避雷針がわりに利用され雷除けの木といわれ、神社、仏閣、屋敷内などによく植えられています。

オミナエシの花

  オミナエシの花(9月)

クマツヅラの花

クマツヅラの花(9月)

キササゲの果実

キササゲの果実(9月)

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