2018.10.05
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“ステビア、カカオ、サクララン” の花が咲いています。【城西大学 薬用植物園】

薬草園にも、秋がやってきました。園ではステビアStevia rebaudianaの花が咲き、温室ではカカオTheobroma cacaoやサクラランHoya carnosaが満開です。

  薬草園で、小さな白いステビアStevia rebaudiana(キク科)の花が咲いています。ステビアは、南アメリカ(パラグアイなど)原産の多年草です。茎は白い細毛に覆われ、葉には、ショ糖の150~300倍の甘味を持つという甘味成分のジテルペン配糖体(steviosideやrebaudioside Aなど)を含んでいるため、天然甘味料として用いられます。甘味物質は、ダイエット用食品や糖尿病患者用メニューなどに砂糖の代わりとして用いられ、その他、清涼飲料や缶コーヒーなどにも使用されています。現在では甘味料としてだけでなく、茎葉を発酵後、数年間熟成させたものの健康飲料や化粧品などへの応用も検討されているそうです。

  薬草園温室(高屋)でカカオTheobroma cacao [アオイ科(APG分類)、アオギリ科(新エングラー分類)]の花が咲いています。カカオの原産地は中央アメリカ~南アメリカの熱帯地域で、学名の Theobromaはギリシャ語で「神 (theos)の食べ物 (broma)」を意味し、かつてはとても、貴重品だったため種子は通貨としても用いられたそうです。現在、世界で栽培されているカカオの品種は、フォラステロ種(FORASTERO) クリオロ種(CRIOLLO)トリニタリオ種(TRINITARIO) の3系統が知られています。花は樹齢4年程度で開花し、直径3cm程の白い(品種によって赤~黄色)幹生花をつけ(結実率は1%未満)、卵型の果実は、幹から直接ぶら下がり、約6か月で熟し、カカオポッドと呼ばれます。中には20~60個ほどの種子があり、これがカカオ豆 (cacao beans)となります。種子は40~50%の脂肪分を含み、収穫された果実は果皮を除いて一週間ほど発酵後、取り出されたカカオ豆は、ココアやチョコレートの原料とされます。城西大学薬用植物園のカカオは、まだ幼く花をつけるだけですが、実のなるのが楽しみです。

  温室に可愛い花をつけているつる植物があります。サクララン(桜蘭)Hoya carnosa [キョウチクトウ科(APG分類)、ガガイモ科(新エンブラー分類)]は、アジア東南部の熱帯、亜熱帯に分布し、日本では九州南部、沖縄地方に自生する多年生つる草。夏、多くの散形に開いた花柄に球状のよい香りのする淡紅白色の小花をつけます。漢字では桜蘭と書きますが、これは、花の色が桜花に似て葉はラン科植物に似ることによります。同じ温室にある同属のホヤ・カーリー Hoya kerrii はラブラブハートの名で親しまれ、葉は多肉質の大きなハート形をし、観葉植物としても楽しめます。

注) APG植物分類体系:1998年、APG(Angiosperm Phylogeny Group; M.W. Chaseら)によって発表された葉緑体DNAや核DNAの遺伝子情報に基づいた新しい分類体系。2003年に改訂版“APG Ⅱ”、2009年に“APG Ⅲ”、2016年には“APG Ⅳ”が出されている。

ステビアの花

ステビアの花(10月)

カカオの花

カカオの花(10月)

サクラランの花

サクラランの花(10月)

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