2020.08.05
薬学科 その他
【薬剤師のしごと】Vol. 7 漢方専門薬局でのしごと

*はじめに

みなさんは、薬学部(6年制薬剤師養成課程)を卒業した後の進路として、何を思い浮かべるでしょうか。薬局や病院で見かける薬剤師さんでしょうか。でも、実際の薬剤師さんのお仕事って・・・意外と知られていない様に思います。薬局では?病院では?それ以外に活躍する場ってあるの?意外に知らない事ばかりかもしれません。
そこでここでは、なりたい職業ランキング1上位に位置する「薬剤師」のお仕事や、薬学部卒業後の薬局や病院以外の進路についても紹介していきます。連載企画「薬剤師のしごと」第7弾として、今回は薬局といっても調剤薬局ではなくて、漢方専門の薬局での仕事について紹介します。みなさんの進路選択や職業調べの参考になれば幸いです。
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薬剤師のしごとVol. 1 薬局でのしごと_図1

*漢方専門薬局でのしごと

 
 あなたは漢方薬に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。味やにおいが悪い薬、すぐに効果が出ない薬、高価な薬、怪しい薬など漢方薬はそのような比較的ネガティブなイメージを持たれることが多いのではないでしょうか。
 漢方薬の種類は煎じ薬やエキス剤など複数あります。煎じ薬とは生薬をそれぞれ取り揃えて1つの袋にまとめ鍋などで煮出すお薬です。煮出した液体には生薬の有効成分が含まれており、この液体がお薬となります。例えば、有名な漢方薬に葛根湯がありますが葛根湯の中には葛根、麻黄、桂枝、芍薬、大棗、生姜、甘草と7種類の生薬で構成されています。葛根湯を調剤するときは7種類の生薬を棚から集めて1つの袋に詰めていきます。一方、エキス剤とは煎じ薬をドライ加工して飲みやすく、持ち運びしやすい剤形としている薬で主に病院で処方されたり、ドラッグストアで販売されたりしています。
 煎じ薬は効果が高いのですが、煎じる手間がかかってしまいます。煎じる時間がない方もいれば、飲み易さを重視されている方もいます。誰にでも煎じ薬をお渡しすることが出来るわけではありませんので、患者さんのライフスタイルに合わせた提案をすることが大切です。せっかくのお薬も続けて飲めなければ意味がありませんからね。
 漢方薬局は調剤したお薬の説明をしてお渡しするだけではありません。症状に合わせた養生法(日常生活の改善と同義)も一緒に説明します。病気や辛い症状などは偏った生活によって発生していると考えているからです。偏った身体のバランスも元に戻すことが大切なのです。その際、日々の食事や寝る時間、運動だけではなく心のケアも併せて行う必要があります。漢方では心と身体は繋がっていると考えるため、心の状態も健康でなければなりません。そのため、ご相談では1人につき30分~60分程度の時間をかけてゆっくりとお話をします。中にはお話をするだけで元気になる患者さんもおり、コミュニケーションを取ることがとても重要だと感じています。
 漢方薬局や漢方薬について何となく想像できたでしょうか。全国的に店舗数が少ないので漢方薬局へ勤務するには少しハードルは高いですが、薬剤師としてこれほどやりがいがあり、楽しい仕事は無いのではないかと感じています。

*本記事は2020年8月1日に掲載した記事『漢方薬局を経営する城西薬学部卒業生の鈴木貴善さんから、これから薬剤師を目指す皆さんにメッセージが届きました!』を再編集して、漢方専門薬局のしごととして掲載しています。
 
 

 

漢方薬

今回は、薬局・病院以外での活躍の場として、漢方専門薬局での仕事について紹介しました。ここまで読んでくださったみなさんは、少なからず薬学部に興味を持っている方でしょう。薬学部卒業生の進路についてイメージは出来ましたか?薬学部で薬について学ぶと、薬局や病院さらにはその他のさまざまな場所で活躍する機会が待っています。このページが、みなさんの将来へのイメージ作りにお役に立てたなら幸いです。
今後も、薬剤師の様々な仕事について紹介していきたいと思います!乞うご期待!

★これまでの薬剤師のしごと(クリックすると過去記事がみれます)

Vol. 1 薬局でのしごと
Vol. 2 病院でのしごと
Vol. 3 科捜研でのしごと
Vol. 4 学校でのしごと
Vol. 5 スポーツファーマシストのしごと
Vol. 6 法医学教室でのしごと
 
薬剤師の様々なしごとについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの動画もどうぞ。
『こんなトコロでも活躍!~城西薬学部の先輩たち~』

城西薬学部卒業生の鈴木貴善さん

オーナープロフィール
鈴木 貴善(すずきたかよし)
1977年東京都生まれ。2001年に城西大学薬学部卒業後、トーアエイヨー株式会社に就職し医薬情報担当者(MR)としてクライアントである医師に対し医薬品の情報提供を行う。2006年に医療法人東湖会鉾田病院に就職し、薬局長として院内の調剤、服薬指導や医薬品管理等に携わる。在職中に日本東洋医学会専門医・指導医である横田廣夫院長より東洋医学・漢方薬の基礎を教わる。その後、日座薬局の日座崇先生に師事し中医学理論・日本漢方の理論、臨床を学ぶ。西洋医学・東洋医学の双方の知識・経験を活かした治療方法を試行錯誤し、2019年茨城県水戸市にて、漢方薬局Rinを開局。

漢方薬局Rinのホームページ
https://www.kampo-rin.com/

漢方薬局RinのTwitter
https://twitter.com/tak_suzuki_2018
 

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