2020.12.02
医療栄養学科 お知らせ
【医療栄養学科】薬物療法学研究室コラム『管理栄養士になるのに「薬」の勉強?(1)』【取組】

201202薬物

 皆さんは管理栄養士という仕事をご存知でしょうか。管理栄養士は、病気の人や食事がとりづらくなっている高齢者、健康な人それぞれに合わせて専門的な知識と技術を持って栄養指導や給食管理、栄養管理を行うための厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。言ってみれば食事や栄養のプロフェッショナルなのですが、医療栄養学科ではこの管理栄養士の卵が「薬」の勉強をしています。なぜ管理栄養士になる人が「薬」の勉強をしているのでしょうか?それは管理栄養士が対象とする人には「薬」を飲んでいる、患者さんや高齢者が含まれているからです。最近は食事が薬の効果に影響を与えてしまう薬と食の相互作用が注目されています。

☞薬と食の相互作用(1):食事時間と薬を飲む時間(服薬時間)の関係
飲み薬と食事は密接な関係があります。薬を飲むタイミングは「食後」、「食直後」、「食前」、「食直前」、や「食間」などがあります。「食後」は食事の20~30分後、「食直後」は食事の直後、「食前」は食事の20~30分前、「食直前」は食事の5分~10分前に薬を飲みます。このように薬を飲む時間を食事時間に関連付けて決めることが一般的です。一つの理由は「飲み忘れ」を防ぐためです。多くの薬は「食後」に飲むように決められていますが、薬によっては、「食後」に飲むと胃や腸の中で薬と食物が混ざって薬が上手く吸収されなくなることがあります。また逆に、胃や腸の中に食物がないとうまく吸収されない薬もあります。このように薬の吸収に配慮して飲むタイミングが決められている薬もあります。

☞薬と食の相互作用(2):特定の食品が薬に及ぼす影響
特定の食品によって薬の吸収が変化してしまう薬も多くあります。例えば、グレープフルーツジュースは高血圧の薬など多くの薬の吸収を増やしすぎて副作用の原因となってしまうことがあります。一方で、薬の吸収に関わらず薬の効果を変化させてしまう例もあります。例えば、ワルファリン(血液が固まらないようにする抗凝固薬)を飲んでいる患者さんではビタミンKが豊富な納豆や青汁を摂取すると、薬の効果が弱まってしまい、血栓症(脳梗塞や心筋梗塞など)を引き起こす原因となってしまうことがあります。

☞薬の知識を栄養食事指導に活かす
 生活習慣病をはじめ多くの病気は栄養・食事や運動などの生活習慣を見直しながら、薬を使った治療を進めます。管理栄養士は栄養・食事の指導や管理のプロフェッショナルですが、上述のように薬との関係を知らなければ十分な仕事ができません。管理栄養士は患者さんのカルテから病気の状態や飲んでいる薬を把握して、それらに合わせた食事・栄養指導や献立作成を行う能力が今後さらに求められます。すなわち管理栄養士は医師、薬剤師、看護師などと同じチーム医療の中で活躍する医療従事者の一人なのです。そのために医療栄養学科では、「薬」の勉強をしっかりしています。皆さんも医療栄養学科で「薬に強い」管理栄養士を目指しませんか。
研究室紹介ページURL:
https://www.josai.ac.jp/education/pharmacy/nutrition_dep/laboratory/yakubutsuryouhou.html
ハッシュタグ:
https://lab.naninaru.net/seminar/U25800/josai_pharmacy_sunaga

 
城西大学薬学部医療栄養学科
(管理栄養士養成課程)
薬物療法学研究室 
教授 須永 克佳 須永先生 
准教授 菊地 秀与 菊地先生 
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