2020.12.11
薬学科 お知らせ
【薬学科(6年制)】「より人らしい仕事ってなんだろう?」 埼玉県立南稜高等学校で模擬授業を行いました。

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 埼玉県立南稜高等学校2年生へ「AI vs 薬剤師」の題名で模擬授業を行いました(担当:薬学科病院薬剤学研究室の間助教)。模擬授業の内容を一部ご紹介いたします。

 みなさん、シンギュラリティ(技術的特異点)という言葉を聞いたことがありますか?人工知能(AI)などの技術が、自身で人間より賢い知能を生み出す事が可能になる時点を意味します。この技術特異点が来るのが、2045年と言われています(2045年問題)。
 さて、アフターシンギュラリティで大きく変わるものの一つに「雇用環境」があります。オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授が2013年に発表した論文の中で、将来90%以上の確率で消える職業が紹介されています※。なくなるとされる職業として、繰り返しの作業、正確さや素早さが求められる作業を特徴とするものがあります。一方で、残る職業として、creativityが求められる職業や、social skill(コミュニケーション能力)が求められる対人業務が挙げられます。
 試算どおり、種々職種がAIよって完全に取って替えられるかは疑問で、シンギュラリティの到来自体に反対する意見もあります。
 いずれせよ、職業の”一部”業務をAI技術が担うことは間違いありませんし、現時点でも、コールセンターの応答や、自動運転タクシーがあります。実生活の中でも、デジタルデバイス(スマホ、タブレットなど)の音声アシスタントや、掃除機、洗濯機など、AI技術が活用されています。
 AI技術の導入が進む中で、われわれ人間に求められることは、「より人らしい仕事とは何か」考えることです。ここで、医療体制について考えると、超少子高齢社会にある日本においては、働き手の減少と医療・介護需要の増加が必至です。対物業務をAI技術に任せるもしくは一部サポートさせることで、業務の効率化を図り、人間が担う業務として、「より人間らしい(共感・想像する)仕事」、対人業務へと劇的にシフトすること求められます。
 

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 高校生の受講者の方には、このような背景をもとに、薬剤師の対人業務(より人らしい仕事)の一部や、本学の特徴として行っているコミュニケーション授業をご紹介しました。また、進路選択の渦中にある高校生にとって、向こう10~20年先を見据え、自分がどうありたいか・どうなりたいか、考えることの大切さをお伝えしました。それと同時に、現在の学びが、将来自分の礎となるよう「高等学校での勉学に精一杯励んでほしい」、「無駄なものはない」とメッセージを送りました。
 今回の模擬授業が、進路選択の一助、勉学に対するモチベーション向上のきっかけになれば幸いです。

※ Frey and Osborne (2013) ,「The Future of Employment: How susceptible are jobs to computerisation?」

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