2021.01.18
医療栄養学科 お知らせ
【医療栄養学科】【学生インタビュー】その人の気持ちを優先して考えようとすることが大切だと感じた IPW演習(緩和医療学)に参加した医療栄養学科の学生たちへのインタビュー【取組】【多職種連携】

210116IPW演習医療栄養学学生インタビュー

インタビューに答えてくれた学生の皆さんと教員で集合写真
城西大学薬学部、埼玉県立大学保健医療学部、埼玉医科大学医学部、日本工業大学建築学部は、“彩の国連携力育成プロジェクト(SAIPE)”を組織し、地域住民の豊かな暮らしを支えるための専門職育成を目指した教育を行っています。その取り組みの一つとして、2021年1月8日(金)に多職種連携実践(IPW)演習を実施しました。

城西大学薬学部としては、「緩和医療学」という薬学科、薬科学科、医療栄養学科の3学科共通の選択科目として開講している科目の一部として実施していますが、この日は埼玉県立大学理学療法学科(33名)、埼玉医科大学医学科(137名)、日本工業大学建築学部(1名)、城西大学薬学部(薬学科10名、薬科学科4名、医療栄養学科10名)の総勢195名の学生が集まり、緩和医療を受ける状態にある模擬患者さんに対する支援計画についてオンライン上でチームに分かれて議論し検討しました。

演習では、初めて会う他大学の学生たちと協働して模擬患者さんに対する支援計画を立てていきます。初対面のチームメンバーで最初は不安そうでしたが、30分も経つとすっかり打ち解け、模擬患者さんの病歴や治療情報、さらにはインタビューを通じて得た患者さんの生活状況や思いなどをもとに、患者さんに寄り添いながら支援する方策について活発に話し合っていました。

各チームには、各大学の教員がチーム活動をサポートするファシリテーターとして加わっています。ファシリテータのサポートも受けつつ、チームそれぞれのカラーを出し、2時間という短い時間の中で楽しみながら、活発に議論していました。
今回は、医療栄養学科から参加した小芦さん、崔さん、島崎さん、張さんの4名の学生に、IPW演習に参加したきっかけや、参加したことによる自分の中での変化、模擬患者さんと接してみて感じたことなどについてインタビューしました。
ー今回のIPW演習に参加しようと思ったきっかけを教えてください。

小芦 管理栄養士が関わる部分での知識不足が不安だったのでギリギリまで参加を悩みましたが、病院で管理栄養士として活躍したいという気持ちが強く、色々と経験したいと思い参加しました。

 2年生の時にIPW演習に参加したことがあり、その時に良かったと感じていたので今回も参加しました。緩和医療学を選択したのは、将来働く上で、人の死に直面することが考えられて、患者さんの気持ちを理解する機会になるのではと思ったからです。

 病院管理栄養士として働きたいと思っているので、今回の演習に参加したいと思いました。

島崎 病院に就職したいと思っているので、演習で学べることがあると思って参加しました。


ー模擬患者さんと接してみてどのようなことを感じましたか?

 専門性を発揮しようとする前に、その人の気持ちを優先して考えることが大切だと思う。「一生懸命努力してきたのになぜ、がんになってしまったのか」と不公平感を感じている模擬患者さんの言葉が印象に残っています。模擬患者さんと知っていても本当の患者さんなのではと思うことがあった。

崔 本人の望みや家族の望みを優先してケアを行うことが大切だと感じました。患者さんと家族の心理的なサポートも必要だと思いました。患者さんが1番望んでいるものが何かを感じ取るのが大変でした。模擬患者さんの命が残り少ないことを娘さんにいつ、どうやって伝えようとしているのかについて聞くことがチームでの悩みでした。

小芦 医療に関わる知識というよりもコミュニケーション能力が必要だなと強く感じました。患者さんの趣味や今後やりたいことを聞こうとした時、好きなことはわかったけれど、どんなことをしていきたいかという方向に話を広げて聞くのが難しかったです。スポーツが好きと答えてもらったけれども、それを叶えてあげることはできないかもと考えると、それ以上何を聞いていいかわからなくなってしまいました。

島崎 家族と最後の時間を過ごしたいのだと感じました。病気になる前の体になって、最後の時間を家族と過ごしたいという気持ちを強く感じました。
模擬患者さんへのインタビューなので、本当の患者さんと接するような態度でコミュニケーションをとることができていなかったんじゃないかと感じました。ただ自分たちの聞きたいことを質問してしまっているのではないかと感じた。患者さんのことを想った態度で接することが必要だったと思いました。

崔 私たちの班は、最後まで模擬患者さんと気づかないで本物の患者さんだと質問していました!

古屋 皆さんよく考えていますね!今回の演習が皆さんにとって印象に残るものだったんですね!


ー演習に参加して自分の中で変化はありましたか?

小芦 積極的にいろんな人と喋りたいなと思いました。結構人見知りなので。人から話しかけられれば話せるけど、質問する側になることを考えれば、開いた質問や話を広げられるようになりたいので、積極的にいろんな人と話していきたいと思いました。

島崎 コミュニケーション能力を高めたいと感じました。チームの司会の学生さんがすごくて、問題解決に向けて話をどんどん進めていってくれて、私は管理栄養士としての貢献ができなかった。黙ってしまうことが多くて、話になかなか参加することができず、頷くことぐらいしかできなかったので。

君羅 「頷く」というのもスムースなコミュニケーションのポイントなので、それができていたのはまずOKだと思いますよ!

 演習に参加する前の不安とは逆で、みんなが私の話を聞いてくれたのは嬉しかったです。自分は何も意見が出せないかなと思ったけれども、患者さんを前にして今まで学んだ知識がスルスルと出てきてびっくりした。今まで学んだことは今後に活かせるのかわからなかったけれど、チーム内の話し合いに生かすことができて良かったです。
これまでは、自分が話す日本語がおかしいかなと思っていて、チーム内で役割を任されることから逃げていたけれど、今後またこうゆう機会があれば、チームでの役割を引き受けようと思うようになりました。
将来、病院で仕事をする上では、自分が勇気を持って、話出したり行動したりしないと患者さんを助けることにつながらないと思うので、まずは自分が勇気を出して行動しようと思うようになりました。

教員一同 拍手!!! 

 コミュニケーション能力を磨いていかに円滑にチームの話し合いを進めていけるかが重要だと思いました。患者さんの話したいことを導き出すためにはどうしたらいいのか、同じチームの人たちから話を引き出すコミュニケーションをどう続けていくのが良いのかについて学んでいきたいと思った。
少し話は変わるけど、今回、死が近づく模擬患者さんを見て、あとは健康診断の結果を重視しないで大きな手術をすることになってしまった私の友人を見て、社会人は自分の健康に注意して欲しいなとも感じました。社会で働く人たちの自分の健康に対する意識を上げてもらえるような注意喚起をしていけるようになりたいとも思いました。


ーIPW演習について管理栄養士を目指す高校生に伝えるとしたら、何を伝えますか?感想も含めてどうぞ!

 ぜひその人の人間性に注目してください。あとはコミュニケーション能力を高める機会になります!

小芦 管理栄養士の勉強をしている立場で参加したので、その知識がすごい必要で、発言をしっかりしなきゃと思っていて、最初はどうやって話を切り出せばよいかわかりませんでした。でも、初めましての人と協力して課題解決をしていく中では、自分が思っていたよりも知識が必要なのではなくて、コミュニケーションの方がずっと重要だなと思いました。
 終盤で、専門的な話になってきた時に、患者さんのリハビリについて話し合うことがありました。埼玉県立大学の理学療法を学ぶ学生さんたちがリハビリに関する具体的な案を出してきた時に、私が「患者さんがリハビリをしていく中で食欲不足にも気をつけないと、エネルギー不足になることが考えられるから、具体的な方法はわからないけれど、栄養面の改善も考えていった方がいい」と発言したら、他大学のチームメンバーから「あぁそういったところも考えなきゃいけないのね!」と言ってもらえました。普段は栄養のことを勉強しているから、食欲やエネルギー摂取といった部分に目が行くのは当たり前なんだけど、他の分野を勉強している人からしたら、自分とは違う視点を持ってるんだと感じてもらえて、自分の学んでいることがこうやって生かせるんだと思えた瞬間でした。そのとき「チーム医療」ということを実感できたので、IPW演習は、多職種連携について具体的に実感できる貴重な機会になると思います!

 いろいろなことが勉強になりましたが、人間とは?について色々と感じることが多かったです。命ってどうゆうものかな?と演習が終わってからもすごく考えました。
家族の繋がりについてもすごく考えさせられました。なぜ家に帰りたいのかな?余命が少ない時は家族と過ごしたいかなと色々と考えながら質問したら、模擬患者さんが「自分の娘にまだ教えていないことを教えたいから娘の近くにいたい」という言葉を聞いた時とても感動しました。
自分の家族のことを考えても、家族が大事だなと改めて思いましたし、家族の繋がりが素晴らしいなと感じました。知識だけでなく、人間について考える機会になりました。
社会に出ると、自分の家族や他の人の家族のことについて話す機会がなかなかないと思うので、人の家族について考える機会になって、色々なことを想像して、自分の人生や家族のことを振り返る機会でした。

島崎 職について理解を深める機会になりました。患者さんを治療していく時に1人の力では絶対に足りないので、チームのみんなで力を合わせれば、困難なことを乗り越えられると思いました。
ー他大学の学生と接してみて、または色々な大学のファシリテーターの先生方と接してみての感想は?

 チームのファシリテーターの先生が気さくに話しかけてくれました。Zoomのルームに入った瞬間緊張していたけれど、ファシリテーターの先生がアイコンのことをかわいいーと褒めてくれて一気に空気が和みました。

小芦 ファシリテーターの先生が「みんなであだ名を決めたらどう?」と提案してくれて、そのあとあだ名でメンバー同士で呼び合うことができてチームからいろんな意見が出るようになりました!

ー学生の時にIPW演習に参加したことのある山田先生から一言!

山田 この短い期間の演習の中で、みんながいろんなことを感じてよく考えていたんだなと知ることができてすごい感動しました。私も学生の頃にIPW演習に参加したけど、みんなほどいろんなことを考えられていなかったなと思います。私もすごく勉強になりました。ありがとうございました!
 
自分の専門領域から飛び出して他者と関わりながら学ぶことができるIPW演習。学生たちはそれぞれ不安や期待を持って演習に参加していました。知識に関する不安を抱えて話し合いに参加してみると、専門的な知識ではなく、話し合いを続けるコミュニケーションの必要性を強く感じた学生さんが多かったです。
患者さんを治療する、痛みを和らげるにはどうしたらよいかと考える前に、その人のことを知ろうとすること、その人の家族のことを考え、話を聞いていくことの大切さ、そして難しさも同時に感じていたようです。
試験に合格するための勉強だけでは得られない、人と向き合った「生きた学び」が今回のIPW演習を通して、たくさん経験できたのではないかと思います。参加した学生たちは、このIPW演習を経て、さらにパワーアップしていってくれると思います。
インタビューに答えたくれた医療栄養学科3年生のみなさん
小芦 涼さん
崔 ブンさん
島崎 寧優さん
張 政嘉さん
 君羅先生 
聞き手・文:君羅 好史
城西大学薬学部医療栄養学科 助教
(管理栄養士養成課程)
食品機能学研究室 


 古屋先生
薬食相互解析学研究室 
准教授 古屋 牧子
(薬剤師)

 中里見
医療栄養学教育推進室 
助手 中里見 真紀
(管理栄養士)

山田先生 
食毒性学研究室
助手 山田 沙奈恵
(管理栄養士)
【関連記事】
埼玉県内4大学連携授業「IPW演習(緩和医療学)」をオンラインで実施しました【薬学部】
4大学(城西大学、埼玉県立大学、埼玉医科大学、日本工業大学)合同の多職種連携実践(IPW)演習・緩和医療学を実施しました!
【医療栄養学科】第2回 彩の国連携力育成プロジェクト『緩和ケアIPW(多職種連携)研修会』が開催されました
【医療栄養学科】【取組】彩の国連携力育成プロジェクト* 『令和元年度 IPW実習』 が行われました
【医療栄養学科】【取組】彩の国連携力育成プロジェクト 『平成30年度 IPW実習』 が行われました
医療栄養学科はこちらからご覧になれます。卒業生情報も掲載しています。

前のページに戻る