2021.02.08
医療栄養学科 お知らせ
【医療栄養学科】【特別講義】災害医療を知り、薬を学ぶ管理栄養士として何ができるか考える、「管理栄養士であっても気づきたい災害時の薬物療法」の講義を実施しました【取組】

210208災害医療講演1

ここ数年、日本では多くの災害が起こっています。地震、台風、そして今は新型コロナウイルスの流行・・・。
災害時は多くの医療従事者が決死の活動をしている姿をテレビなどで見聞きしていると思いますが、生の声・経験を聞ける機会はほとんどありません。

2021年1月13日(水)、外部講師に聖マリアンナ医科大学薬剤部に所属し、災害派遣医療チーム(DMAT)隊員としても活躍している硲真悟先生に、「管理栄養士であっても気づきたい災害時の薬物療法」と題して、災害医療と薬物療法について、オンライン会議システムのZoomを利用して、講義していただきました。硲先生は、隊員として東日本大震災や最近ではダイヤモンド・プリンセス号における新型コロナウイルス集団感染に対して出動されています。

講義前半では、災害医療と救急医療との絶対的な違いなど災害医療の基本的概念や、DMATや医療救護班、DMATを設置している災害拠点病院の要件などについてお話されました。
次に数ある災害対応経験の中から、東日本大震災を例に、実際何が起こっていたのか、現地の貴重な資料・写真をもとに解説されました。

210208災害医療講演2

講義の後半では災害現場で管理栄養士であっても気づきたい薬物療法の例として、インスリン製剤注1)の話をされました。災害時では、患者さまの手元には薬はありません。また薬使用の履歴であるお薬手帳は存在しませんし、さまざまなインスリン製剤があることから患者さまの記憶もあいまいです。さらに十分な栄養も得られません。そのような状況下において、インスリン製剤をどのように選んで、患者様にどのように使用してもらうかが重要になり、そこは医師、看護師、薬剤師だけでなく管理栄養士でもできるというお話でした。

すでに薬の講義(薬物療法学や薬理学など)を学んでいる2年生以上の学生にとっては、災害時の薬を利用について平時と違う気づきとなったようです。また薬の講義を受講していない1年生には後半部分は難しかったかもしれませんが、災害時の活動について学べる貴重な講義だったと思います。

最後に、城西大学医療栄養学科(管理栄養士養成課程)では、年に数回、外部から講師の先生をお招きして様々な勉強をする、「医療栄養学科特別講義」があります。栄養やスポーツ、そして薬の話まで盛りだくさんです。このような多様な学びができる城西大学医療栄養学科(管理栄養士養成課程)で一緒に学んでみませんか?きっと他では経験できない世界を味わえると思います!


注1)インスリンとは、食事後にすい臓より分泌され、身体を構成している細胞への糖の分配を進める重要な生体内物質です。基本的に細胞は糖がないとエネルギーを作ることができず、正常な活動ができなくなるので、インスリンはとても重要な物質であることがわかるかと思います。インスリン製剤は、何らかの病気により十分なインスリンを分泌できなくなった患者さまに使用する、栄養学とも深い関係のある医薬品です。
 

210208災害医療講演3

聖マリアンナ医科大学薬剤部、災害派遣医療チーム(DMAT)隊員 硲真悟先生

講義を受けた学生の感想

講義を聞いて、私はDMATや医療救護班の方々など災害時医療に携わる医療従事者の方は、とても心強い存在であると再認識しました。
それと同時に、今までは災害時医療は自分にとって少し遠い存在なのかな…と考えていましたが、有事の際には今まで管理栄養士になる上で学んできた知識が役に立つ場面もあることや、立場が違ってもできることがあることが知れて良かったです。
自分が学んできた知識は、一般の方にとっては馴染みのない知識ということもあると思うため、これまでの勉強で身につけたことについて、自信と責任を持つきっかけになったと思います。(医療栄養学専攻 修士1年 久保正徳さん)


今回、硲真悟先生の講義を受けて、初めて「DMAT」という存在を知りました。災害等が起きた際、現場に赴いている医師や看護師、薬剤師等の医療従事者は、実は専門的な訓練を受けている特別なチームであることに驚きました。
新型コロナウイルスによるダイアモンドプリンセス号での救護活動は、迅速かつ適切な対応で人々を救っている姿は、「DMAT」に所属する医療従事者として、とても勇敢でした。この姿を見て、被災している危険な現場で頑張っている「DMAT」の存在を、更に多くの人たちに知ってもらいたいなという気持ちになりました。
被災現場において、食糧確保や栄養失調に陥らないための対策など、食・栄養の専門である管理栄養士の働きかけも重要なのではないか、今後「DMAT」で活躍する管理栄養士が増えると良いなと思いました。また城西大学では、薬学部に管理栄養士専攻学科があるので、持病があり服薬している方に対して、薬と食の面からアプローチして、より多くの命を救えるのではないかと思いました。
将来、城西大学の管理栄養士が「DMAT」として、被災地の最前線で頑張っている姿が見られたらとても良いなと思いました。(医療栄養学専攻 修士1年 塩原由菜さん)


D M A Tには、医師・看護師・事務職員で構成されていると思っていましたが、薬剤師も災害対応をしていることを初めて知ることができました。薬剤の管理だけでなく、地域への支援など考え行動することが多くあることを学びました。また、管理栄養士として、災害が起こったときのために、日頃から患者さんに栄養のことや薬剤師と連携して、薬についての正しい知識、災害が起こった時のインスリン注射の仕方などを伝える必要があることを知りました。
他に学んだこととして、災害時には「子どものおもちゃが必要」ということを学びました。これは、子どものストレスの緩和のために必要不可欠ということです。薬のこと、食事のことなど薬剤師や管理栄養士が行なえることを当たり前のように行なえるように準備するだけではなく、子どもに対して何ができるのか、専門性ではないところにも常日頃から考えていかなければならないことを知ることができました。(医療栄養学専攻 修士1年 手塚宥哉さん)
 
研究室紹介ページURL:
https://www.josai.ac.jp/education/pharmacy/nutrition_dep/laboratory/yakubutsuryouhou.html
ハッシュタグ:
https://lab.naninaru.net/seminar/U25800/josai_pharmacy_sunaga
城西大学薬学部医療栄養学科
(管理栄養士養成課程)
薬物療法学研究室 
教授 須永 克佳 須永先生 
准教授 菊地 秀与 菊地先生 

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