2021.03.09
医療栄養学科研究科 お知らせ薬学研究科(研究科内)
【医療栄養学科】【地域貢献】 私の8年間のゆずに関する研究成果が日本食品保蔵科学会誌に掲載されました。【医療栄養学専攻】【取組】

210309野村さんゆず論文

ゆず果実ホールペーストの成分特徴と機能性を報告する論文を執筆した野村佳歩さん
 城西大学の医療栄養学科 (管理栄養士養成課程) 食品機能学研究室と分子栄養学研究室が共同作製したゆず果実ホールペーストの成分特徴と機能性を報告する論文が日本食品保蔵科学会誌の第47巻 第1号に掲載されました。
 私が、早期配属制度により二年生で城西大学医療栄養学科食品機能学研究室に配属されたころにゆずの研究が始まりました。数年かかりゆずの果皮と種皮をペースト化することに成功しましたが、作製したペーストは苦味が強く商品への応用に苦労しました。そこで苦味を消した製品を考えるのではなく、苦味を特性として捉えることにしました。そして、ゆずの豊かな香りをもち、かつ、ちょっぴり苦いをテーマとした老若男女に好まれるパウンドケーキやゼリーを産学連携商品として開発・販売することができました。約8年間、研究・商品開発に携わりようやく商品化までたどり着くことが出来てとても嬉しいです。産学連携商品の他につい先日、ゆず果実ホールペーストを使用したスポーツようかんの発売も開始されました。
 研究では、ゆずの果実だけでなく果皮と種子を丸ごと使用して作製した埼玉県産ゆず果実ホールペーストには、香気成分のリモネンやオイゲノールそしてバニリンや、機能性食品成分であるβ-クリプトキサンチンやノミリンが多く含まれることを発見しました。そして、培養細胞やマウスを用いた研究では、ゆず果実ホールペーストには脂質代謝改善作用や骨芽細胞分化促進作用があることが期待される結果が得られました。
 城西大学の近隣の毛呂山町では、日本最古のゆずである「桂木ゆず」が特産品として有名です。地元では生食の消費以外にゆず果汁生産も進められており、果汁を絞った後の果皮や種子などの残渣は果汁収量の半分を占めています。残渣の廃棄には莫大な費用が必要となり、加工者や生産者にとって莫大な廃棄コストは問題となっています。したがって、残渣である果皮や種皮が特徴的な成分や機能性を持つことを報告した本研究は、ゆずの価値を高めることにつながり、フードロスの削減と地域活性化への貢献も期待できると考えられます。
薬学研究科薬科学専攻 食品機能学講座 管理栄養士 博士後期課程3年
野村 佳歩
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