2022.11.21
お知らせ 大学
ばかばかしいですか、低俗ですか? 浮世絵講座第4回『戦う浮世絵 笑う浮世絵 ~武者絵と戯画の世界~』【城西大学水田美術館】
2022年度に水田美術館が実施する浮世絵講座の第4回を、11月19日(土)に埼玉坂戸キャンパス水田三喜男記念館講堂にて、対面とオンラインの併用で開催しました。
浮世絵を5つの視点でとらえる今年の講座の第4回は、「武者絵、戯画」の分野。講師には太田記念美術館主席学芸員の日野原 健司 氏をお迎えしました。

講義は、「武者絵、戯画」の浮世絵での位置づけから始まりました。今年度の浮世絵講座5回の構成でもそうですが、浮世絵といえば、まず「役者絵」「名所・風景画」「美人画」。“ムシャエとギガ、ですか?”と思うように、浮世絵のなかで「武者絵」や「戯画」が脚光を浴びるようになったのは、比較的最近のこと(21世紀になってから?)だそうです。
今回の浮世絵講座は、そのなかで人気急上昇の歌川国芳、月岡芳年から入りました。

まず、「武者絵とは」。歴史や伝説、架空の物語に登場する武者や豪傑の戦いの様を描いたもので、浮世絵の初期からあり、主要な絵師のほとんどが手がけているそうです。アッと魅せる大胆な表現の歌川国芳、月岡芳年が有名どころ。その代表的な浮世絵を見ながら、構図の特徴や場面の意味、絵と物語の相違、解剖学的な要素が見られる肉体や骨格の表現と洋書からの影響などを説明されました。
武者絵の鑑賞ポイントを3つあげると、
  1. 想像力に富んだ妖怪やキャラクター
  2. 迫力ある大胆な構図やポーズ
  3. ストーリーを知るともっと面白い

続いて「戯画」。“笑う浮世絵”です。理屈ではなく、面白くておかしい絵の分野です。動物を人に見立てた絵、座敷芸の影絵遊びのような絵、ヒトで作った顔、絵文字、贅沢禁止令や世相をチャカしたような悪戯書き風の役者絵や顔だけ雀の遊郭風の絵まで、バリエーションは様々だそうです。これらを画像とともに解説されました。
戯画の発展には、絵画が支配層・上流社会から、庶民文化への変化が根底にあるそうです。長い年月にわたって評価されなかった背景には、近代的・西洋的な視点での芸術性という価値観があったのではないか、との説明でした。
戯画の鑑賞ポイントを3つあげると、
  1. 可愛らしい動物キャラクター
  2. 理屈無用の馬鹿馬鹿しさ
  3. 世相を皮肉る庶民のしたたかさ

今回は講義時間を80分とり画像タップリのサービス版でした。
追記:「戯画」を観ながら、昭和に流行った「ナメ猫」を頭の片隅に思い浮かべました。

浮世絵講座開催報告をアップしました。【水田美術館HP】

第5回オンライン参加のご案内
第5回(最終回)は12月3日(土)13:30~15:00 UKIYO-E PROJECT Adviser 国際浮世絵学会常任理事 新藤 茂 先生による「おもちゃ絵 あれもこれも」です。
会場参加は締め切りましたが、下記からオンライン参加(zoom)を受け付けています。

申込期限: 2022年11月30日(水)午後4時まで
オンライン参加の受け付けはこちら

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