アスリート・運動をする人が摂るべき栄養素やサプリメントについて解説
プロのアスリートはもちろん、趣味でスポーツを楽しんでいる人にとっても体は資本であり、健康を維持していかなくてはなりません。
健康や体作りの基本は食事ですが、具体的にどのような栄養素が必要なのでしょうか。
本記事では、アスリートにとって特に重要な栄養素は何か、それらを補うためのサプリメントの摂取方法や効果なども含めて解説します。
もくじ
アスリートにとって必要な栄養素
私たち人間にとって必要な栄養素にはさまざまなものがあります。
たとえば、エネルギー源となる炭水化物、体づくりの源となるタンパク質、神経組織や細胞膜などをつくるために不可欠な脂肪は三大栄養素ともよばれ、生命維持に欠かすことができません。
これらに加えて、身体の調子を整えるビタミンやミネラルも重要な栄養素といえます。
たとえば、ビタミンB1は炭水化物を効率よくエネルギーに変換するのを助ける働きがあるほか、ビタミンCは鉄分の吸収を助け軟骨や腱などを強くする働きがあります。また、骨を強くするためにはカルシウムが、酸素を体内のすみずみまで届けるには鉄分も不可欠です。
アスリートが高いパフォーマンスを維持しケガを防止するためには、これらをバランス良く摂取することが求められます。
運動をする人にとって機能性成分が必要な理由
アスリートが優れたパフォーマンスを維持するうえで、栄養バランスのとれた食事は基本といえますが、メニューや献立を検討するうえで覚えておきたいのが「機能性成分」とよばれるものです。
機能性成分とは
機能性成分とは、健康維持や有害物質の作用を低減するための効果が認められている成分のことを指します。三大栄養素のように生命維持に最低限必要な栄養素ではないものの、機能性成分を積極的に摂取することで万全の体調を整えられます。
代表的な機能性成分には、お茶に含まれるカテキンやテアニン、大豆に含まれる大豆イソフラボン、トマトに含まれるリコピン、ぶどうやブルーベリーなどに含まれるポリフェノールなどが有名です。
運動で失われやすい栄養素
日常的にハードなトレーニングを行っていると、汗とともにビタミンやミネラルが失われやすくなります。
たとえば、鉄分が失われると血液を介して酸素を送ることができなくなり、持久力の低下や酸欠を招くことがあるでしょう。
また、ビタミンが失われると疲労が回復しにくくなったり、ミネラル不足によって骨格や関節の機能に影響しケガをしやすくなったりする可能性もあるのです。
機能性成分はサプリメントで摂取してもいい?
栄養の吸収率やバランスを考えたとき、機能性成分は基本的に食事を通して摂取することが基本となります。
しかし、たとえば十分な量のビタミンやミネラルを摂取しようとすると、膨大な量の野菜や果物などを摂らなければならず、逆にカロリー過多になる可能性もあるでしょう。
食事だけで十分な機能性成分を摂取できない場合には、不足分をサプリメントで補給することも有効です。
スポーツに多い怪我で効果のある食事・サプリメントとは
日々ハードなトレーニングを行っているアスリートは、ケガのリスクもつきまといます。ケガの防止や早期回復にはどのような食事を心がけるべきなのでしょうか。
骨折などの骨の怪我
転倒や強い圧力が加わった際に骨折をするケースは多いものです。
特にカルシウムが不足していると骨が脆くなりやすく、骨折のリスクも高まることから、乳製品や小魚、小松菜、豆腐といった食物を積極的に摂取しましょう。
靭帯や関節の怪我
アキレス腱や関節などを負傷するとスムーズな動きができなくなり、ケガが治った後もフォームが崩れるなどしてさまざまな影響が残ります。
靭帯や関節のケガは、周辺の筋力が低下することで生じるケースも多いことから、タンパク質を積極的に摂取しながら、カルシウムで関節そのものを強くする必要もあります。
特に、タンパク質の一種であるコラーゲンが多く含まれている鶏軟骨や鶏の皮、クラゲ、ナマコ、ウナギなどの食物がおすすめです。
肉離れ
筋肉の急速な収縮によって、一部の組織が切れる肉離れは、強烈な痛みが走り回復にも時間を要します。
肉離れの予防や治療中に積極的に摂取したい栄養素は、主にタンパク質とビタミン、ミネラル類です。
赤身肉や乳製品、大豆のほか、ビタミンB6を多く含むカツオやマグロ、ビタミンCを含むキノコ類や納豆、魚介類、マグネシウムを含む海藻類、ナッツ類などがおすすめです。
打撲
打撲を負うと皮膚の一部に赤みや炎症、痛みが生じますが、早期に回復するためには抗酸化作用のあるビタミン類やポリフェノールといった栄養素が必要です。
たとえば、ビタミンCを多く含む柑橘類やほうれん草、ポリフェノールを多く含むぶどうやブルーベリーなどがおすすめです。
プロテインの効果と効率的な摂取方法
通常の食事とは別にプロテインを摂取することで、ハードなトレーニングにも耐えうる肉体を手に入れられます。
しかし、プロテインは飲みたいときに飲めば良いというものではなく、摂取のタイミングや量が重要です。
プロテインの期待される効果
そもそもプロテインとはタンパク質のことです。本来、タンパク質は肉類や魚介類、大豆製品、乳製品などから摂取しますが、これらには脂肪分も含まれており摂りすぎてしまうと肥満の原因にもなります。
市販のプロテインは脂肪を極力抑え、高タンパク質かつビタミンやミネラル類もバランス良く配合されていることから、筋力のアップや丈夫な体作りにも役立ちます。
効果的な摂取タイミング・量
プロテインを摂取する目的はダイエットや健康維持など、人によってもさまざまであり、目的に応じて最適な摂取タイミングは異なります。
身体づくりを目的としているアスリートの場合は、ハードなトレーニングによって傷ついた筋肉の組織をタンパク質によって修復する必要があるため、トレーニング直後にプロテインを摂取するのが理想的とされています。
また、タンパク質の摂取量については年齢や性別によっても異なります。たとえば、18〜29歳の男性の場合は1日あたり65gのタンパク質摂取が推奨されていますが、アスリートの場合はさらに多くのタンパク質が求められるでしょう。
粉末プロテインの場合、1食あたり15〜30gのタンパク質が含まれているため、食事とは別に1〜2食分程度の摂取量が目安となります。
運動とコラーゲンの関係性
腱や関節などの動きをスムーズにし、丈夫な身体づくりやケガの防止においてもコラーゲンは積極的に摂取したい栄養素のひとつです。実際にプロのアスリートのなかにもコラーゲンに着目している選手は少なくありません。
コラーゲンは腱や関節のほか、皮下組織や骨など体のあらゆるところに含まれており、タンパク質全体の約3分の1を占めているとされています。
また、ある研究データでは、コラーゲンを含むサプリメントを積極的に摂取した場合とそうでない場合を比較したとき、前者のケガの発症率が50%以上も低かったことが報告されています。
このようなコラーゲンの重要性に着目し、城西大学ではトレーニングの合間でも手軽に摂取できるスポーツ和菓子®️の「JOSAI コラーゲンようかん」を開発し、JOSAIサポートオンラインショップやヤマザキショップ城西大学店で提供しています。
スポーツサプリは効果があるの?
サプリメントやプロテインをはじめとした機能表示食品は数多く、一度は試しに摂取してみたという方も多いのではないでしょうか。しかし、なかには「思うような効果が実感できなかった」と感じることも少なくありません。
アスリートが体づくりを目的として摂取するサプリメントをスポーツサプリとよびますが、本当に効果は得られるものなのでしょうか。
結論からいえば、バランスのとれた食事や適切なトレーニングを継続することが体づくりの王道であり、それらをメインに実践しなければなりません。しかし、それだけで必要な栄養素が賄えるとは限らないのも事実です。それを補助するという意味では、スポーツサプリは大きな武器になるでしょう。
一方で、偏った食生活や十分なトレーニングをしておらず、スポーツサプリだけに頼ってしまうと十分な効果が得られないどころか、体の調子を崩す可能性も高まってしまいます。
アスリートに向けた運動用ドリンク「RUNSHOT-ランショット」
マラソンや駅伝、トレイルラン、サッカーなど、特に持久力を要する競技のアスリートは日々ハードなトレーニングを積んでいます。
トレーニング後は適切に体をケアするとともに、競技の最中においても素早いエネルギー補給が求められます。
このようなアスリートのニーズに応えるために、新田ゼラチン株式会社は城西大学と共同で運動用ドリンク「RUNSHOT-ランショット-」を開発しました。
腱や関節に必要なコラーゲンペプチド5,000mgと、疲労回復に効果的なクエン酸2,700mg、BCAAも1,000mg配合。特にコラーゲンペプチドは、新田ゼラチンが100年という歴史のなかで培ってきたノウハウを活かし開発した独自ブランド「Wellnex®」の特別な成分であり、優れた吸収力を発揮します。
大学駅伝強豪校である城西大学はもちろんのこと、多くの大学・実業団のランナーを中心としたアスリートが愛用されています。
城西大学薬学部医療栄養学科の教育の特徴
食事や栄養は人々の健康を支える基本であると同時に、アスリートのパフォーマンスも左右するほど重要な存在です。
そこで、アスリートのフィジカル面を支えたいと考える方のために、城西大学薬学部医療栄養学科では、4年制のカリキュラムを経て、栄養士の資格と管理栄養士国家試験の受験資格を得ることができます。
また、将来サプリメントや機能性表示食品など健康を支える食品を研究・開発したいという方のために食品機能学研究室も設置しており、食品成分の生体機能におよぼす作用の解析などを学べます。
まとめ
アスリートに限らず、さまざまな栄養素は私たち人間が生きていくうえで欠かせないものであり、栄養バランスが崩れてしまうと健康にもさまざまな影響を及ぼします。
スポーツ経験やスポーツチームを裏方として支えた経験のある方のなかには、栄養学や食品機能学などに興味を抱くケースもあるでしょう。
さらに、医療栄養学科では、実践的なスポーツ栄養やドーピングに関わるようなクスリに関する専門的知識を身につける環境が整っています。
将来、人々の健康やプロのアスリートを影で支える仕事に就きたいと考えている方は、城西大学薬学部の医療栄養学科で管理栄養士の資格をとり、食品機能学の専門知識を習得することも検討してみてください。
真野 博
- 研究分野:ライフサイエンス / 食品科学、栄養学、健康科学、常態系口腔科学
- 東京農業大学 農学研究科 農芸化学専攻 博士課程 修了(1989年3月)
- 城西大学 教授(2010年4月 - 現在)
- 城西大学 大学院 薬学研究科長 男子駅伝部部長
君羅 好史
- 研究分野:人文・社会 / 家政学、生活科学
- 東京農業大学 農学研究科 食品栄養学専攻 博士課程 修了(2012年3月)
- 城西大学 薬学部 医療栄養学科 准教授(2023年4月 - 現在)