東洲斎写楽

松本米三郎のけはい坂の少将実はしのぶ

寛政8年(1796)
大判錦絵
寛政6年5月、桐座で興行された『敵討乗合話(かたきうちのりやいばなし)』に取材した六枚組の一図。宮城野の妹しのぶは、遊女けはい坂の少将に身をやつしながら父の仇をねらう。懐から手を出してキセルを持つポーズは遊女に特有なもの。ややあごを引きじっと見つめる眼差しに、秘められた決意を表現した、写楽には珍しい穏やかな作品である。東洲斎写楽は、豪華な役者絵を刊行して突如浮世絵界に登場し、わずか10ヶ月で姿を消した謎の絵師。個性までを描き出す迫真的な表現で人々の話題をさらい、現在では世界的肖像画家として注目されている。 

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