私たちは、医薬品と言うときれいに梱包されたカプセルや錠剤などを連想しますが、人類の歴史を振り返ってみますと、それらは薬用植物を起源とし、薬用植物から得られた物質をヒントに開発されたものが数多くあります。また、漢方医学では天然自然に存在する動植鉱物をそのまま、または簡単に加工して使用しています。従って、薬用植物は近代医学の発達した今日においても医学薬学領域の中で大変重要です。また、薬用植物には、観賞用として見るだけで、愉快な気分になるものも多く、普段何気なく見ている植物が薬用としても使用できることなどを知ると楽しくなります。
本学の薬用植物園は、学生への教育、研究材料、薬用植物の試験栽培および保存を目的として、1973年薬学部創設と同時に設立されました。設立以降、約800種の薬用植物を栽培しており、埼玉県指定天然記念物「ステゴビル」の保存栽培も手掛けています。また、一般公開を企画し広く地域社会の教育活動にも協力しています。
このたび、創立50周年記念事業の一環として薬用植物園が装いを新たに開園致しました。本展では、薬用植物園に栽培されている薬用植物について写真と解説でご覧いただき、併せて、生活の中に取り入れられた身近な薬草についてもご紹介していきます。
薬用植物の知られざる魅力を、本展を通して知っていただければ幸いです。