この度、城西大学水田美術館におきまして「水田三喜男コレクション―幕末・近代の書」を開催する運びとなりました。
本学創立者 水田三喜男の郷里、鴨川にある鴨川市郷土資料館には、浮世絵以外の水田の蒐集となるコレクションが所蔵されています。その内容は、江戸時代の儒学者や漢詩人、維新の元勲、明治・大正時代の政治中枢にいた人物の筆とされる日本漢詩にはじまり、陶器・壺・皿、加えて、自らが政治家であった頃の勲章や愛蔵の品と様々なジャンルで構成されています。
本展では、創立50周年を記念し、鴨川市郷土資料館所蔵の本コレクションから、勝海舟、渡辺華山、大久保利通といった幕末から明治・大正期に活躍した高名な人物らが手掛けたとされている遺墨をご紹介します。幕末期を中心とする江戸時代の漢詩は、概して愛国精神に溢れた主題が多くある一方、明治・大正期は、作者の内省描写や時勢を顧みての個人的な心情が表現されており、時代によって内容が異なるのが特徴です。そこには、水田自身の蒐集傾向の変化をも感じさせてくれる興味深い資料群と言えます。
これらの書を通して、時代の息吹を感じていただくとともに、浮世絵コレクターとして知られている水田三喜男のもうひとつのコレクションをお楽しみいただければ幸いです。