このたび、城西大学水田美術館におきまして、「水田コレクション浮世絵展 役者絵」を開催いたします。
大衆の人気を集める歌舞伎役者を描く役者絵は、浮世絵の始まりから今日まで続く、最も重要なジャンルです。芝居番付や版本挿絵により高まる人々の要求に応え、元禄後期に鳥居清信が特定の芝居に取材し、一枚摺版画として売り出し役者絵は誕生しました。
「ひょうたん足、みみず描き」で錦絵以前の役者絵を独占した鳥居派にはじまり、錦絵以降の勝川春章、一筆斎文調による役者の面貌を描き分ける似顔表現の登場や、寛政期に東洲斎写楽による役者似顔をクローズアップした「大首絵」の流行、そして、江戸後期には、歌川派絵師らの活動でワイドスクリーン画面を表出させた続物、創意工夫を凝らした揃物など、多彩な展開が見られました。
本展では、鳥居派、勝川派、写楽、そして、幕末最大画派となった歌川派の作品をご覧いただきながら役者絵の流れを辿っていきます。また、双六形式のものや、髪型の付け替えを楽しむもの、舞台裏の楽屋での様子を描いたもの、さらには人気役者の訃報と追善を兼ねて出版された死絵と呼ばれるものなど、様々な趣向で登場する役者絵も併せてお楽しみいただきます。
役者絵の流れを見ていきながら、浮世絵の歴史を語る上では欠かせないこの一大分野の世界を、コレクションを通してご覧頂ければ幸いです。
●太田隆司プロフィール●
東京都清瀬市生まれ。
1995年より自動車専門誌「CAR GRAPHIC」で「PAPER MUSEUM」の連載を開始。
横浜・八景島シーパラダイス、名古屋、トヨタ博物館、日本橋三越本店ほか、台湾「PAPER MUSEUM TAKASHI OHTA」(来場者約5万人)など国内外で個展開催。
現在「tomica展」(2018年は東京、大阪、名古屋で開催)にてコラボ作品を展開。
テレビ東京「TVチャンピオン」ペーパークラフト王選手権優勝をはじめ、受賞歴多数。