最も純潔な、最も思慮深き心は、色彩を最も愛好する人々であるのである※1
ジョン・ラスキン
色と云ふものはお互いに助けあつて美しくなるものだよ。人間と同じことだよ。どつちの色を殺しても駄目だよ。どの色もいきなければ※2
武者小路実篤
友情はほかのことには信義をまもるが、色恋沙汰となるとたちまち豹変する※3
ウィリアム・シェイクスピア
ああ、日本は、佳い國だ。パンが無くなつても、酒が足りなくなつても、花だけは、花だけは、どこの花屋さんの店頭を見ても、いつぱい、いつぱい、紅、黄、白、紫の色を競い咲き驕つてゐるではないか。この美事さを、日本よ、世界に誇れ!※4
太宰治
色にまつわる名言をいくつか並べてみました。色は、「光による視神経の刺激が脳に伝えられて生ずる感覚であり、物事を識別するための手段」にとどまらず、 「想像力をかき立て記憶を呼び覚ます、心に寄り添うもの」でもあります。だから、われわれの住む世界は多様で豊かです。 色がない世界は、おそらく単調で平凡なものでしょう。そう考えると、色の持つパワーは計り知れません。
色を醸す源には2つあります。自然界、そして人間による創造です。日本にも人工的に色を創り出す人たちがいます。 今回の水田美術館での展示は、2018年開催の“IMABARI Color Show”の第二弾であり、愛媛県今治市で色を創り出している染色加工業のみなさんからのメッセージです。 そして、水田美術館オリジナル企画として、城西生が選んだ城西大学2020年の色と、城西生および地域の皆さまにご協力をいただいた「1000色の声」をパネル展示しました。
展示会をとおして、色のパワーに触れていただき、色に想いを馳せていただければ幸いです。 最後にもうひとつ、名言をどうぞ。
この世でいちばん素晴らしい色は、あなた自身を輝かせる色※5
ココ・シャネル
2020年4月吉日
城西大学経営学部教授 辻 智佐子
引用 ※1賀川豊彦訳「第5章 ビザンチン式宮殿」 『ヴェニスの石』下巻、春秋社、1932年、35頁/※2「愛慾:ある画室の主(愛慾後日譚)」『武者小路實篤全集』第6巻、小学館、1988年、227頁/※3小田島雄志訳「から騒ぎ」 『シェイクスピア全集』 第3巻、白水社、1986年、22頁/※4 「新郎」 『太宰治全集』 第5巻、筑摩書房、1976年、12頁/※5「Happy Birthday ココ・シャネル!新境地を開いた女の人生を輝かす30の言葉。」『VOGUE』2017年8月
■展示
「どのような人たちが色を創っているのか、どのように色は創られるのか、そんなことを五感で感じ、みずからも体験できる。ついでに、地元のおいしいものを食べ、語り、交流を深め、新たな発見をする。そんな素敵な場所があったら。」という発想のもとで、将来、染色加工業者のみなさんがモノづくりの拠点として集う「工業団地」のイメージを城西生に考えてもらいました。 従来の工業団地の常識を取っ払い、生産者と消費者の区別なく、みなが集まる場所として、どのような工業団地を構想するか。名付けて…夢の工業団地プロジェクト。
■参加型展示
“IMABARI Color Show2019”で行われた、エマニュエル・ムホー氏によるインスタレーション「1000色の波」。今治市公会堂は1000色の色の波に彩られました。 城西大学水田美術館では、今治の染色技術で染められた、「1000色の波」と同じ生地を使い、「1000色の声」として、色と声を展示いたします。展覧会開催中も「声」の参加が可能です。会場でアートの一部を作成しませんか?
城西生が選んだ城西カラー2020は 緑とオレンジ、紫と黄色の2パターン。 “IMABARI Color Show”の「劇場レッド」「丹下グレー」のような素敵な色の名前を考えてみませんか?展覧会会場にてご参加ください。
■おうちでワークショップ
「1000色の声」で使用された、今治の染色技術で染められた生地でコースターが作れます。5色布を選んで、型紙と共にお持ち帰りください。切り抜かず、そのままでもお使いいただけます。
*参加無料 *申込不要