貞末堯司先生が亡くなられたとの報に接したのは、2021年2月のことでした。貞末先生は城西大学が開校した1965年から経済学部講師を務められ、夏休みに学生達を連れて大学近隣の遺跡を発掘されました。これが城西大学創立を初年度として行われた「入間地区学術調査五か年計画」の始まりであり、城西大学の地域貢献活動の嚆矢でした。これ以後、城西大学の最初の部活動の一つである考古学研究会を中心に、発掘調査が続けられました。また東京大学、早稲田大学はじめ、多くの他大学の学生、研究者が一連の発掘調査に参加しており、城西大学の歴史上、最初期の大学間連携活動でもあったということが出来るでしょう。
貞末先生は1980年に金沢大学文学部に移られ、考古学研究会はOBでもある堀合公威先生が顧問となられ、20年以上続けられることとなります。貞末先生、堀合先生とも既に故人となられましたが、地域貢献、大学連携、国際的活動といった、現在改めて大学に求められている活動を先駆的に実践してこられたご業績は、今改めて振り返るべき本学の原点であると言えるでしょう。
本展示会は、特に城西大学の最初期の一大事業であった「入間地区学術調査五か年計画」に焦点を当てた構成となっています。この計画によって、本学の周辺に先史古代からの人間活動が豊富に存在したことが実証されました。本展示会の第一の意義は、城西大学が積み上げてきた考古学的学術成果を示すことにありますが、あわせて城西大学の歴史の展示であり、城西大学が建つ土地の歴史の展示でもあります。
また現在の城西大学にも、複数の考古学者が教員として在籍しております。形を変えつつ続けられている「城西考古」の学史もまた概観いただければ幸いです。
石井 龍太(城西大学経営学部准教授)