城西大学水田美術館は、本学創立者水田三喜男(みずたみきお)(1905~76)が生前に蒐集した浮世絵を中核となす日本絵画コレクションを母胎とする美術館です。
日本文化発展への寄与を目的にこの水田コレクションを公開するため、45年前の1979年に水田記念図書館8階に開館、浮世絵研究者をはじめ、浮世絵愛好家、そして広く地域の方々に親しまれてきました。2011年12月に現在の場所に新装開館してからは、水田コレクション公開の他、浮世絵に関する展示、地域ゆかりの展示を行うなど、社会に開かれた施設を目指すとともに、大学付属施設として、学生の活動や大学広報に関わる展示、教員連携による企画展、授業見学での教育支援を行うなど、学内教育施設としての役割も担っています。
この度のコレクション企画展示では、幕末明治期に活躍した浮世絵師 豊原国周(とよはらくにちか)の役者絵版画15点をご紹介します。
豊原国周(1835~1900)は、月岡芳年(つきおかよしとし)、小林清親(こばやしきよちか)と共に明治浮世絵の三傑と称せられた浮世絵師です。
嘉永元年(1848)、14歳で三代歌川豊国(うたがわとよくに)に入門、明治維新を迎え様変わりする社会情勢に他の絵師達が翻弄されていく中、国周一人は師匠ゆずりの役者絵様式を頑なまでに固辞し、さらに独自の様式へと昇華させ名声を獲得しました。美人画も得意としていましたが、特に役者大首絵において、役者の持ち味を顔の表情だけで描いたことで人気を得て、「役者絵の国周」としてその地位を不動のものとし、江戸後期に役者絵で一世を風靡した東洲斎写楽にちなみ、後世「明治の写楽」とまで激賞されました。門弟には、明治の美人画家で名を馳せた楊洲周延(ようしゅうちかのぶ)や国周晩年の女房でもあった豊原周義(ちかよし)(生没年不詳)等がいます。
水田美術館には、水田コレクション*1とJUコレクション*2合わせて計35点の国周作品が所蔵されており、本展示では、JUコレクションより15点をご紹介します。また、展示室中央のケースでは、ミニコーナーとして今の季節に合わせて桜が描かれた浮世絵もご覧頂きます。
当館コレクションの浮世絵をお楽しみいただけましたら幸いです。
城西大学水田美術館
*1水田コレクション…本学創立者 水田三喜男が集めたコレクション
*2 JUコレクション…水田コレクション以外で寄贈や購入により当館が集めたコレクション