水田コレクション展

浮世絵の版元と出版

  • ギャラリー1
  • 特別開館

概要

Overview

浮世絵版画の最大の特徴は、大衆が気軽に購入できる量産された出版物である点です。それを企画から宣伝、販売まで一手に引き受けるのが版元です。一枚の浮世絵は、版元が企画を立て絵師に注文するところから始まり、決して絵師が単独で思うがままに描いたものではありません。その売れ行きは、移ろいやすい大衆の好みや流行を先取りし、人気絵師を起用する版元の手腕にかかっています。喜多川歌麿や山東京伝、無名の東洲斎写楽を売り出した版元蔦屋重三郎は、その卓越した例といえるでしょう。

一方で、出版活動の活発化とともに、幕府の取締りも強化され、寛政期(1789~1801)には検閲制度が始まります。度重なる禁令や取締りの中でも、版元は、実名を禁じられれば判じ物仕立てで裏をかくような、様々な工夫をして大衆の興味を喚起し、出版は発展を続けました。

浮世絵版画をすみずみまで眺めると、絵師の落款だけでなく、屋号などを意匠化した“版元印”に気づくでしょう。このことは、版元の役割の重要性を物語ります。また、検閲の“改印”は、作品の刊行時期を知る情報源ともなっています。

この度の展覧会は、“版元印”や“改印”に見られる小さな情報に注目し、浮世絵版画を出版の歴史から捉えるものです。初期浮世絵時代から改印の現れる寛政以降、さらに新制度下の明治期までの作品を通し、出版をとりまく社会状況を読み取りながら、ひと味違った視点で浮世絵をお楽しみください。

展覧会情報

Exhibition information

会期: 2012年10月30日(火)~
11月10日(土)
観覧料: 一般300円、高校生以下無料
会場: 城西大学水田美術館 2階
ギャラリー1
※開館時間: 10:00~16:00
※休館日: 月曜日・11月1日(学園祭準備のため)

関連イベント

Connection Event

  • ギャラリートーク

    当館学芸員による展示解説

    2012年11月3日(土) 14:00~14:30
    作品をご覧いただきながら、当館学芸員が解説いたします。

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