城西大学薬学部は2013年度創設40周年を迎え、74校ある我が国の薬学部のなかでも1、2の規模へと発展してきました。また、他大学と異なり、6年制の薬学科と4年制の薬科学科および医療栄養学科を擁し、薬剤師だけでなく、医薬品、化粧品、機能性食品の技術者を養成し、さらに栄養面から医療を支える管理栄養士を育成していることから、日本でもっとも患者さんや消費者に近い目線で薬学を考えている大学として特徴づけることができます。
健康維持は「薬」だけで保つものではなく、「栄養」で病気にならない身体作りをしていくことも薬学にとって大変重要だと考え、教育・研究を行っています。薬師寺を例にとりましてもわかるように、古くから日本では健康作りに取り組んでおり、現在の薬学はそのような歴史の延長上にあります。薬を作り、使うことが薬学では重要になりますが、どのような流通経路で薬が患者さんに渡っていくかについてしっかりと理解することも大切です。そこで、総合大学という本学の強みを活かし、経営学部などと連携して医薬品の流通についても研究を開始しました。
江戸時代の初期には、全国の諸藩は領民の健康保持に力を入れましたが、薬も不十分で、疫病が多発しました。しかし、当時の庶民は常備薬をもたず、病気のたびに商業人から買わざるを得ない状況だったのです。そうした中、薬に興味があった富山藩第2代藩主・前田正甫公(1649~1706)からスタートしたと言われる、「富山の置き薬」は、薬を前もって預けて必要な時に使ってもらい、代金は後日受け取るという画期的なシステムで薬の流通革命を起こしたと考えられています。
本展では、当時から使われた「反魂丹」や「万金丹」薬草を細切りした「薬研」さらには前述した「先用後利」の考え方、また、「紙風船」や「柳行李」などの歴史についてパネルでご紹介していきます。あわせて、城西国際大学薬学部より借用した「柳行李」や「紙風船」、薬の調合に必要な「薬研」「天秤」なども展示いたします。
本展を通して、多くの方に薬の歴史に興味をもっていただき、これらの延長上に現在の「薬都 富山」があり、そして本学薬学部が目指すものがはっきりしてきたことを知っていただければ幸いです。