この度、城西大学薬学部創設40周年を記念して、水田美術館において「ポーラ・コレクションからみる化粧と化粧品の歴史-装飾化粧から化粧療法まで-」を開催する運びとなりました。
本学薬学部では、健康維持は「薬」だけで保たれるのではなく、「化粧」をすることで、ベッドで横たわる高齢者が病室を歩き回る例にもあるように、医療における化粧のちからも重要と考え、薬学教育では、薬のみならず栄養素や化粧品をも視野に入れた取り組みを行っています。さらに、薬・サプリメント・化粧品などは、安全性が求められるため、これら化学物質の安全確保にも薬学のちからが必要となります。
化粧の歴史は装飾化粧から始まり、女性の自己表現のための化粧、患者の心をいやす化粧療法の実践と、時代の流れとともに化粧と化粧品の様相も様変わりしています。また、薬指を古くは薬師指とも、紅差し指、紅つけ指とも呼び、薬を溶かしてつける時や、唇に紅をつける際に用いていたことから、薬と化粧品が隣り合わせであったことが伺えます。
本展では、ポーラ文化研究所より格別なご協力をいただき、ポーラ・コレクションの中から、江戸~昭和初期にかけての化粧道具や化粧品、また、当時の化粧風景などを描いた浮世絵をご紹介し、化粧が装飾化粧、女性の自己表現の手段へと変化していく過程を薬学的視点からご紹介します。また、医療現場における化粧と患者との関わりも合わせてパネルでご覧いただきます。
本展が、化粧と化粧品の歴史を改めて知るとともに、私たちが今後それらとどう向き合うかを考える機会となれば幸いです。