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【城西大学・城西短期大学】 2023年度の学位記授与式・卒業証書授与式を挙行しました


2023年度の学位記授与式と卒業証書授与式を3月18日、総合体育館で挙行しました。早春のこの日に城西を巣立ったのは1,489名で、卒業生総数は9万5,080人となりました。博士3人をはじめ、修士と学士の代表者、短期大学の代表者に藤野陽三学長から学位記が、留学生別科の代表者に卒業証書が授与されました。

藤野学長は告辞と理事長祝辞で、「自利利他(じりりた)」を心に「自分自身の良さを自覚していただきたい」と卒業生にメッセージを送りました(※以下に全文を掲載)。

石川清坂戸市長と山口晋衆議院議員の来賓祝辞に続いて、佐々木信彰さん(薬学部医療栄養学科)と新井琳奈さん(短期大学)が答辞を述べました。佐々木さんはコロナ禍の4年間を振り返り、「到底一人で立ち向かうことは出来ませんでした。共に切磋琢磨し、喜びを分かち合う仲間がいたからこそ、今の私たちがあります。城西大学の目指す『国家社会のより良き形成者としての人材』となるべく、卒業生一同今後とも精進してまいります」と力強く誓いました。また、新井さんは「この2年間は、今まで以上に自発的に行動した期間でもありました。これから未来に向かって進んでいく中で大きな壁に直面することもあると思いますが、ここで得たすべてを生かし、自分たちらしく邁進していきたいと思っています」と決意を述べました。

理事長特別表彰のスポーツ賞は、箱根駅伝の5区・山上りで2年連続の区間新記録を達成。今年は過去最高の3位表彰台に貢献した男子駅伝部の山本唯翔さん(経営学部)が受けました。

理事長特別表彰の学業賞は次の通り。
【学業賞】江口栞梨さん(経済学部)▽小泉亮汰さん(現代政策学部)▽森美輝(経営学部)▽田口幸多さん(理学部)▽増田大地さん(薬学部)▽青木心愛さん(短期大学)

【藤野陽三学長の告辞・理事長祝辞】
学長の藤野です。只今、司会よりご案内のとおり、私は昨年12月より 学校法人城西大学の理事長も務めることとなりましたので、本日は両方の立場から皆様にご挨拶を申し上げます。

城西大学、城西短期大学 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
城西大学大学院修了生の皆さん、修士、博士修了おめでとうございます。

このたびは大学院博士課程、修士課程の修了71名、学部卒業 1,347名、別科卒業5名、短期大学卒業 66名、総計1,489名の皆さんに 学位記 並びに修了証書を
授与いたしました。卒業生の皆さんを今日まで支えてこられたご家族、ご親族の皆様とここまで共に歩んでこられた周囲の皆様方にも心よりお慶びを申し上げます。
また、本日ご臨席いただきました来賓の皆様には、日頃より本学の教育の場に多大なるご理解をいただくとともに、地域の皆様からは、学生たちの住まいやアルバイトの斡旋、スポーツや課外活動の応援、学外研修・地域交流へのご協力と、多くのご支援をいただいております。この場をお借りして、厚く御礼を申し上げます。
そして、いつも学生たちを様々な形で支えていただいた父母後援会、そして同窓会の皆様のご支援に感謝を申し上げるとともに、今後も同窓生への温かい励ましをお願いしたいと思います。

さて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、2020年春に始まりました。本日卒業される四年制プログラムの方々においては、残念ながら入学式も延期にせざるを得ませんでした。私が本学の学長に着任したのも 2020年4月でしたので、そのことは鮮明に記憶しています。
4月以降、感染が広がり、在学生の皆さんの健康と学習環境を守るため、大学教職員が一緒になって大学運営について真剣に議論をし合ったことをつい先日のように思い返します。途中、一時は収まるのかと思われましたが、結果的には3年もの長い間続きました。その後、感染症としても五類に移行し、今年度になっては、ほぼ平常を取り戻しつつあります。

皆さんのそれぞれの学生生活は、コロナ禍で様々な形で影響を受けたことと思います。どんなことが辛かったですか?対面授業が出来ない時期が続き、大きな不安を感じることもあったでしょう。周囲の人との交流も自然に行えず、新しい友達作りも難しかったと思います。そのような苦労も多くあったなか、皆さんは社会の変化を理解しながら、一生懸命に勉学に励まれました。それらを乗り越えて、本日、皆さんが卒業式に臨まれていることに、私は深い感慨を覚えます。本当に皆さん、よく頑張りました。

そんな折、日本のコロナ感染症対策の問題点を指摘する声も多くありました。しかし、日本でのコロナ感染症により惜しくも命を落とした人は、イギリスやアメリカと比較すると とても少なく、その比率は、五分の一以下でした。

この大きな差に関して、感染症が専門の東北大学教授である 押谷仁(ひとし)先生は、2つの理由で説明しておられます。

1つ目は「コロナとの共存」という考え方を日本は受け入れたからだそうです。
ある公園で,花見自粛の看板に「みんなのために、頑張るのではなく、たたかうのでもなく、予防対策を徹底し、ルールやモラルを守ってあかるい方へ」と書いてあってそうです。戦うのではなく、共存する感じが文章にでています。日本では強制力を伴わない対策に徹しました。一方、アメリカでは 「コロナ感染症は戦争だ。徹底的に戦うのだ。完全勝利するのだ」と 指導的な公衆衛生学者が言っていたそうです。敵を受け入れて共存するという志向は日本独特のものだと、押谷先生は述べています。

そして2つ目に、日本には、「プロソーシャリティ」prosocialityという文化があるからだとしています。「プロソーシャリティ」とは、「利他的な行動を通じて、社会に参加しようとする傾向」のことです。

利他というのは、他人に利益となるように図り、自分のことよりも他人の幸福を願うことです。仏教の言葉に、「自利利他(じりりた)」というのがあります。 利他に心がけると、自分にも利(喜び・幸せ)が返ってくる。自分も他の人も喜び・幸せにあふれる道が自利利他ということです。反対に他の人や周りのことを考えず、自分のことばかり考えているのを、仏教では、「我利我利(がりがり)」といわれます。我利とは、我、私の利益という意味です。

ワクチンもマスクも自分の感染対策だけでなく、他人に感染させないためにと思うことが、プロソーシャリティな行動なのです。
押谷先生がアメリカの学会で、日本人のプロソーシャルティがコロナ感染症を押えた面が強いと発表したところ、アメリカの研究者から、賛同しつつも、「アメリカ人にそれを言っても行動変容は無理だ」と言われたそうです。これは、文化の違いです。
日本の文化が持つよい面が世界の関心を集めたことに嬉しくなりました。

そのコロナも落ち着き、今、日本はどこも海外からの観光客で溢れています。円安も影響しているとは思いますが、日本ならではの文化、おいしい食べ物、観光名所の数々、街並みのきれいさ、治安の良さ、そして何よりも、コロナ感染のリスクが低いことを含め、安全・安心な国であることが大きく影響していると言われています。

解決すべき課題はいろいろありますが、皆さんが今住んでいる日本は、素晴らしい点が沢山ある国なのです。我々は、とかく、自分たちの周りの悪い面、欠点を見る習慣が身についていませんか?皆さんに強くお願いしたいことがあります。人や物事を視る時、まず良い面から視るようにしてください。そして、何よりも皆さんに自分自身の良さを自覚していただきたいのです。目を閉じて、ご自分の良いところを考えてください。「自分は、弱い人をみたら助けたくなる」、「自分は、人付き合いがよいな」、「自分は、人からよく相談を受けるな」 いろいろあると思います。どんなことでもよいのです。
あなたの良さは、ほかの人から見た方がわかるものです。大学生活で出会った親しい友人に聞いてみたらどうでしょう。きっと自分では気がつかなかった良さを教えてくれると思います。「私の良さはこれだ」というものを知って、それを自覚してほしいのです。勿論、直すべきと思うことも多々あるでしょう。でも、良さを知る事が自信に繋がります。生きる力を与えます。
私自身を考えてみても、自分自身、大した能力はありませんが、良いところは、誰とでも隔てなく話せ、友人、知り合いがとても多いことだと思っています。先輩・後輩・仲間をまとめてグループを作るのにも長けているかなと思っています。それが人の輪のつながりに通じていると思っています。

繰り返しになりますが、卒業される皆さん一人一人は、かならず良いところをもって、いろいろな面で輝いているのです。それを自分で認識して自信をもっていただき、社会に出て、それを武器に、存分にご活躍いただきたいと思います。

結びに、卒業生皆さんのご健康とご活躍を心から祈念し、また、町中や電車の中で、私を見掛けたら、声を掛けてくださることをお願いして、終わりにします。
改めまして、ご卒業おめでとうございます。

令和6年3月18日
学校法人城西大学 理事長
城西大学 城西短期大学 学長  藤野陽三

(広報課)

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