Vol. 5 スポーツファーマシストのしごと編
見出しが入り「薬剤師のしごと」
Vol. 5 スポーツファーマシストのしごと
*スポーツファーマシストのしごと
(注:ファーマシストは薬剤師の意味)ます
みなさん。スポーツファーマシストという資格を知っていますか?
スポーツファーマシストは、アスリートが安心して競技を行うためのサポートをする、「アスリートのための薬剤師」です。この資格は、(公財)日本アンチ・ドーピング機構が定める所定の課程を修了した後に認定される資格で、スポーツファーマシストは最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を持っています。(https://www.sp.playtruejapan.org/about/index.html)
「ドーピング」と耳にすると、競技記録を不正に良くするためのものとイメージするかと思います。例えば、短距離走では反応速度を上げるために興奮剤やパフォーマンスを上げる目的で男性化ステロイドなどが使用されており、毎年新たな禁止薬物が出てきています。
しかし、安心してください。日本では不正目的のドーピングはほとんどありません。
それでは、スポーツファーマシストの資格を持つ世の中の薬剤師はどのような貢献をしているのでしょうか?
実は、みなさんが普通に薬局で買う医薬品、サプリメント、栄養ドリンク、そして病院に行ってもらってくる医薬品の中にも、ドーピングになる禁止薬物が有ることを知っていますか?『うっかりドーピング』と言われるもので、アスリートが意図せずに服用したものに禁止薬物が入っていたなんて事が実際にはあります。驚かれるかもしれませんが、ごく身近な総合感冒薬や漢方薬でも、種類によってはドーピングの対象となってしまう成分が含まれていることがあります。
アスリートが病院に行く時は、怪我で整形外科にかかるイメージが強く、通常アスリートは慢性疾患とは無縁の存在と思われがちですが、実は意外と慢性疾患に悩まされている事があります。
長距離の陸上選手の例でお話しすると、一見単なる『最近記録が伸びない、後半になると急にタイムが落ちる』といった不調の中に、喘息、慢性的な貧血(主として鉄欠乏性貧血)が隠れていたりします。練習不足や、メンタルが弱いなどのアスリート自身の問題にされがちですが、実は運動が引き金になる喘息が隠れていたりします。他にも、慢性的な貧血やオーバートレーニングによる鬱症状も記録が伸びない原因になっている事が分かってきています。
多くの場合は、気がつかないまま競技を続行するアスリートもいますが、体調の異変に気づき病院で薬を処方されるケースもあります。最近は、アスリートの為のスポーツ内科がある病院もありますが、それほど多くありません。近くの病院で喘息の薬が処方されて、そのまま飲んでしまったことで、気がついたらタイムが上がっていたなんて話もあるのです。
大きな競技会で入賞者は、競技後にドーピング検査を受ける可能性があります。また、国体やオリンピック代表クラスになると、競技以外でも抜き打ちで検査が行われています。残念ながら、例え治療目的とはいえ禁止薬物に相当する医薬品を使用しドーピング陽性となると、記録の剥奪や公式競技に数年参加できないなどのペナルティーが与えられます。アスリートにとって、たとえ数年でも出場停止処分を受けてしまうと、競技人生で身体的に一番良い時期を逃してしまい、引退を考えなければいけない事もあります。
スポーツファーマシストが働いている薬局では、アスリートが安心して薬物治療が受けられるように、使用可能な医薬品を適切に使用するためのサポートをしています。もちろん、その他にも医薬品に関する質問にもお答えしています。
以下のU R Lでみなさんの周りのスポーツファーマシストを検索する事もできます。(http://www3.playtruejapan.org/sports-pharmacist/search.php)
化学、生物、物理学を幅広く習得する薬剤師は、薬の化学的性質のみならず、人に使用された後の生体内での反応も、熟知しています。薬学の専門知識を活かし、アスリートの薬物治療を安心安全にサポートする「スポーツファーマシスト」の仕事も薬剤師が活躍できる魅力的な職種の一つです。
*この記事は、2020年6月時点での情報に基づき記述しています
スポーツファーマシストは、アスリートが安心して競技を行うためのサポートをする、「アスリートのための薬剤師」です。この資格は、(公財)日本アンチ・ドーピング機構が定める所定の課程を修了した後に認定される資格で、スポーツファーマシストは最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を持っています。(https://www.sp.playtruejapan.org/about/index.html)
「ドーピング」と耳にすると、競技記録を不正に良くするためのものとイメージするかと思います。例えば、短距離走では反応速度を上げるために興奮剤やパフォーマンスを上げる目的で男性化ステロイドなどが使用されており、毎年新たな禁止薬物が出てきています。
しかし、安心してください。日本では不正目的のドーピングはほとんどありません。
それでは、スポーツファーマシストの資格を持つ世の中の薬剤師はどのような貢献をしているのでしょうか?
実は、みなさんが普通に薬局で買う医薬品、サプリメント、栄養ドリンク、そして病院に行ってもらってくる医薬品の中にも、ドーピングになる禁止薬物が有ることを知っていますか?『うっかりドーピング』と言われるもので、アスリートが意図せずに服用したものに禁止薬物が入っていたなんて事が実際にはあります。驚かれるかもしれませんが、ごく身近な総合感冒薬や漢方薬でも、種類によってはドーピングの対象となってしまう成分が含まれていることがあります。
アスリートが病院に行く時は、怪我で整形外科にかかるイメージが強く、通常アスリートは慢性疾患とは無縁の存在と思われがちですが、実は意外と慢性疾患に悩まされている事があります。
長距離の陸上選手の例でお話しすると、一見単なる『最近記録が伸びない、後半になると急にタイムが落ちる』といった不調の中に、喘息、慢性的な貧血(主として鉄欠乏性貧血)が隠れていたりします。練習不足や、メンタルが弱いなどのアスリート自身の問題にされがちですが、実は運動が引き金になる喘息が隠れていたりします。他にも、慢性的な貧血やオーバートレーニングによる鬱症状も記録が伸びない原因になっている事が分かってきています。
多くの場合は、気がつかないまま競技を続行するアスリートもいますが、体調の異変に気づき病院で薬を処方されるケースもあります。最近は、アスリートの為のスポーツ内科がある病院もありますが、それほど多くありません。近くの病院で喘息の薬が処方されて、そのまま飲んでしまったことで、気がついたらタイムが上がっていたなんて話もあるのです。
大きな競技会で入賞者は、競技後にドーピング検査を受ける可能性があります。また、国体やオリンピック代表クラスになると、競技以外でも抜き打ちで検査が行われています。残念ながら、例え治療目的とはいえ禁止薬物に相当する医薬品を使用しドーピング陽性となると、記録の剥奪や公式競技に数年参加できないなどのペナルティーが与えられます。アスリートにとって、たとえ数年でも出場停止処分を受けてしまうと、競技人生で身体的に一番良い時期を逃してしまい、引退を考えなければいけない事もあります。
スポーツファーマシストが働いている薬局では、アスリートが安心して薬物治療が受けられるように、使用可能な医薬品を適切に使用するためのサポートをしています。もちろん、その他にも医薬品に関する質問にもお答えしています。
以下のU R Lでみなさんの周りのスポーツファーマシストを検索する事もできます。(http://www3.playtruejapan.org/sports-pharmacist/search.php)
化学、生物、物理学を幅広く習得する薬剤師は、薬の化学的性質のみならず、人に使用された後の生体内での反応も、熟知しています。薬学の専門知識を活かし、アスリートの薬物治療を安心安全にサポートする「スポーツファーマシスト」の仕事も薬剤師が活躍できる魅力的な職種の一つです。
*この記事は、2020年6月時点での情報に基づき記述しています