城西大学 薬学部 薬科学科 栄養生理学講座

城西大学薬学部薬科学科栄養生理学 研究内容

1,慢性腎不全が全身の臓器に与える影響

腎臓は老廃物の排出、血圧調節、水分と電解質バランス調整、造血、活性型ビタミンD生成などに関与し、体を正常な状態に保つために重要な臓器です。慢性腎不全とは腎臓が慢性的に障害された状態で、現在の医療では回復することが出来ません。そのため、人工透析や腎移植などが必要となります。このような状態で腎臓だけでなく、その他の臓器にどのような影響があるのかについて系統立てて研究されている例はほとんどありません。本研究室では、慢性腎不全モデルラットを用いて、腎臓だけでなく、肝臓、網膜や脳への影響を検討しています。

2,多価不飽和脂肪酸が神経幹細胞の増殖・分化に与える影響

脳は水分を除くと脂質の割合は約60%です。脳に含まれる脂質中の脂肪酸として多価不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)が約10%、アラキドン酸(ARA)が約6%を占めています。脂質は、細胞膜の構成成分やエネルギー貯蔵体としてだけでなく、特異的な受容体や結合タンパク質を介して細胞内シグナル伝達機構を介して脳の発生・発達に寄与している事が報告されています。我々の研究室では多価不飽和脂肪酸が神経幹細胞の増殖や分化にどのような影響があるのか、またその機構はどのようなものかを解明することを目指しています。

3,テオブロミンが認知機能、脂質代謝やがん細胞の転移に与える影響

テオブロミンはカカオに含まれるアルカロイドで、様々な生理機能をもつことが知られています。化学構造はカフェインとよく似ていますが、その生理機能はカフェインと異なる点が多く報告されています。これまで報告されてきた生理作用とは異なる新たな作用とその機序の解明を目指しています。