研究課題

階層構造を持つ多層膜酸化チタン薄膜の製作と評価

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酸化チタンナノ粒子ペーストの調製と塗布技術の向上。階層構造薄膜を特徴とする高効率太陽電池の製作

アナターゼ型酸化チタン(TiO2)のナノ粒子を分散させたペーストを自作し、これを導電性ガラス(FTO)基板に多数回塗布し焼成することで、光電変換電極用の多孔質薄膜を作ります。原料粉末のP90とP25の混合比、分散媒となる酸の種類、撹拌や脱泡の時間を変えることで多種類のペーストを作製しました。そして電力変換効率ηが最大になるように実験条件を最適化しました。例えば、酢酸の量を増やすとpHが下がり、ナノ粒子同士の融着が促進され電荷再結合速度が削減でき、開放電圧と形状因子が増加します。しかも極めて透明度の高いペーストが得られ、その品質は1週間以上も安定に保持されます。城西大学の環境のもとで、最大のη は7%となっています。まだ分子科学研究所で記録した9.5%には道半ばですが、年ごとに変換効率が増加しています。

酸化チタンナノ粒子のペースト化、薄膜作成
酸化チタンナノ粒子の階層構造薄膜を特徴とする色素増感太陽電池(佐藤(む)、2012年度)
階層構造的酸化チタンナノ粒子薄膜における光閉じ込め効果(伊藤(大)、2013年度)
スキージー塗布された酸化チタン多層薄膜の親和性と耐久性(半田、2014年度)  
太陽電池のフレキシブル化
低温焼成によるプラスチック製色素増感太陽電池(五味、2015年度)
酸化チタンナノ粒子薄膜の階層化と電子易動度の向上
酸化チタンナノ粒子ペーストの調整と高効率太陽電池の製作(齋藤(亜)、2014年度)
高効率色素増感太陽電池を目指した酸化チタン薄膜の開発(藤谷(拓)、2015年度)

機能性色素を増感剤とした有機太陽電池の開発

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学内の共同研究で合成されたD-π-A型有機色素を使って色素増感太陽電池を組立て、セルの性能を電気化学や分光学的手法で定量的に評価しました。新たに合成された色素は、電子供与基としてトリフェニルアミンまたはその誘導体を、電子受容基としてトロポロン環やシアノアクリル酸を持っています。たとえばシアノアクリル酸のカルボキシル基がTiO2ナノ粒子へ強く配位しています。電流-電圧測定から、可視光の吸収で分子内に電荷分離が顕著に誘起され、励起電子がTiO2へ効率よく注入されていることが分かりました。

トロポロン環を含むアンカリングユニットを持つD-π-A色素
色素増感太陽電池の大面積化と低コスト化へのアプローチ(若山、2013年度)  
シアノアクリルニトリルをアンカリングユニットとするD-π-A色素
D-π-A型色素を増感剤とした有機系太陽電池の製作と電気化学分析(田中(伸)、2014年度)

酸化亜鉛ナノロッドによる光電変換電極の製作

化学水浴成長法

酸化亜鉛ZnOナノロッドは低温焼成でも良好な電子易動度を示すことが知られています。したがって、TiO2薄膜の代替品として色素増感太陽電池に利用されてきました。最近では、ZnOナノロッドの芯をTiO2ナノ粒子で被覆したZnO-TiO2コアシェル構造体を用いることで、増感色素の密度を著しく高められることも分かってきました。当研究室では化学水浴成長法という方法で、太陽電池のエネルギー変換効率を1.7%まで上昇させることに成功しました。また、電子顕微鏡画像観測とX線蛍光分光により表面形態を観測し元素マッピングを像を得ています。また、電気化学計測法で界面インピーダンスを求めて等価回路を解析しています。

酸化亜鉛ナノロッドの合成
光電変換電極に用いる酸化亜鉛ナノロッドの合成と評価(美内、2012年度)
化学水浴成長法による酸化亜鉛透明導電薄膜の作製と物性測定(鈴木(貴)、2013年度))
化学水浴成長法によるZnOナノロッドおよびコアシェル型ナノロッド(本多、2014年度)
酸化亜鉛・酸化チタンコアシェル構造の形態
化学水浴成長法による酸化亜鉛ナノロッドとコアシェル型ナノロッドの合成(内藤(智)、2013年度)

色素増感太陽電池の電解液と陰極触媒の開発

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アセチルアセトナート白金のポリオール還元で粒径5nm未満の白金ナノ粒子触媒を合成し、これを有機太陽電池の陰極に担持しました。白金ナノ粒子上で、電解液中のキャリア輸送子が酸化還元反応 I3- + 2e- → 3I- を効率よく進行させています。最近では、エネルギー分散型X線による基板表面の元素マッピングから、ナノ粒子の凝集度と有機物の残留度の合成温度や焼成温度に対する依存性を検討しました。

イオン液体を含む電解液の最適化
色素増感太陽電池の発電効率向上を目指したヨウ素電解液の成分最適化(野村(さ)、2012年度)
色素増感太陽電池の発電効率向上を目指した高性能電解液の開発(伊藤(秀)、2013年度)
白金ナノ粒子の合成制御、触媒機能増強
色素増感太陽電池のカウンター電極における白金ナノ粒子の触媒作用(河野、2012年度)
アセチルアセトナート錯体を原料とした白金ナノ粒子触媒の合成と太陽電池カウンター電極への利用(古郡、2013年度)
太陽電池カソード電極に用いる白金ナノ粒子触媒(浅野(な)、2014年度)
炭素ナノチューブを用いたカソード
カーボンナノチューブを塗布したカウンター電極から成る色素増感太陽電池の性能評価(志田(建)、2012年度)

有機太陽電池の分析と評価

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(1)インピーダンス法で太陽電池内部の直列抵抗や並列抵抗、およびそれに付随した容量成分を決定し、等価回路を作成しました。さらに電流電圧曲線の勾配から得られる等価ダイオードの逆飽和電流や直列抵抗の推定値と比較検討しました。
(2)色素から酸化物半導体ナノ結晶への電子注入速度kを色素の発光寿命から推定し、さらに色素分子の吸着状態や凝集度を調べる目的で、ストリークカメラを利用したピコ秒過渡発光観測装置を開発しました。 TiO2またはZrO2の薄膜に吸着したインドール色素d149またはd205の蛍光寿命がサブナノ秒であること、両色素ともk (TiO2) > k(ZrO2)となることを見出しました。

太陽電池の等価回路解析
色素増感太陽電池カウンター電極の内部抵抗解析と超音波半田塗布技術の開発(上重、2012年度)
色素増感太陽電池のインピーダンス測定と内部抵抗解析(岡本(し)、2014年度)
可視領域の時間分解発光分光
ストリークカメラ発光寿命測定装置の性能試験(稲葉(総)、2014年度)
色素増感太陽電池の蛍光分光(立野、2015年度)
光電変換電極の光電子分光
太陽電池電極の光電子分光 ー装置の製作と調整ー(鈴木(あ)、2015年度)

ペロブスカイト太陽電池の製作・評価

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安定、安全かつ安価な材料でペロブスカイト太陽電池を作製する目的で、その層構成と成膜法について検討を開始しました。まず、スピンコート法でTiO2薄膜を作製し、ヨウ化鉛とヨウ化メチルアンモニウムを用いてこの薄膜上にペロブスカイトCH3NH3I PbI2の層を直接形成させ、さらにその上にホール輸送用のチオシアン酸銅と銀を積層させました。

ペロブスカイト太陽電池の基礎研究
多段製膜法を用いたペロブスカイト太陽電池の試作(高橋(ち)、2015年度)
(小原(け)、2016年度)
(齋藤(ゆ)、2017年度)